ナチュラル、ウォッシュトって何?
コーヒーの精製による違い
ナチュラル(非水洗式)とウォッシュト(水洗式)のどちらの精製方法を採用するかは、コーヒーの生産地によって決まってきます。そして精製方法によって、仕上がるコーヒー豆の香味も変化します。ナチュラルのコーヒーはコクと複雑な香味が出て濃厚な味わいになり、ウォッシュトのコーヒーはクリーンでバランスの取れた香味になる特徴があります。
コーヒーの精製とは何か
コーヒーノキは2~3年ほど成長すると大きなさくらんぼに似た真っ赤な実を付けます。「コーヒーチェリー」と呼ばれる果実の中に入っている種子がコーヒーの生豆です。果実はそのままにしておくとすぐに発酵を始め、コーヒーの味わいにも影響を与えてしまいます。そこでコーヒーチェリーから種子を取り出す工程が必要になりますが、この工程のことをコーヒー用語における「精製」と呼びます。そして精製の方法は“ナチュラル”と“ウォッシュト”の2つに分けることができます。
ナチュラル【非水洗式またはアンウォッシュト】
ナチュラルでは収穫後のコーヒーチェリーをコンクリートやビニールシートの上に広げて乾燥させ、果肉とパーチメントを一度に脱穀する方法です。水の少ない産地や乾燥に必要な広い平地のある産地ではこの方法が採用されています。伝統的にエチオピアやイエメン、インドネシアなどで行われています。
長所
ウォッシュトのような設備は必要なく、工程が簡単なのが特徴です。
短所
コーヒーチェリーの水分値を10%ほどまで減少させる必要があるため、完成までに多くの乾燥日数がかかります。
香味
自然乾燥させることで出るドライフルーツのような香りと甘みが特徴です。コクと香味のバランスに優れており、深い焙煎にも耐えられ、濃厚な味わいになります。
ウォッシュト【水洗式】
ウォッシュトでは、コーヒーチェリーを水槽に入れて未熟な実やゴミを取り除いた後、パルパーと呼ばれる果肉除去機を通して果肉を取り除きます。パーチメントのぬめりを取り除くため再度水槽に入れて自然発酵させます。主にコロンビア、グアテマラ、タンザニアで採用されている方法です。
長所
2段階に分けて水槽に入れて選別が行われるため、精製度が高いコーヒーができあがります。
短所
水を大量に使用するため、近くに川や豊富な水源が必要になります。
香味
フレッシュな果実の爽やかな香りと酸味が出やすく、クリーンでバランスのよい香味になります。全体的に飲みやすくあっさりとした印象のコーヒーが多いです。